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あるとき、寿司屋の大将が大変に面白い話をしていた。マグロの話になったときである。
とかく、最近はマグロの値段が上がってしまったのだ、ということを、大将はまず怪訝そうな顔で話し始めた。マグロの人気具合、海外での消費。いくつかの要因によってマグロの値段は跳ね上がり、いいマグロはなかなか手を出せないほどに値上がりしているという。それらを市場で購入しても、「目玉の飛び出るような」値段でしかお客に提供できないからだろう。豪放な大将でも不況や不振には勝てぬらしく表情は曇る。いくら払ってもよいので美味い珍しいものを、という高級店でもなし、採算の取れぬ商いができるわけもなく、てな具合だろうことは、素人でも推察するところである。

続きが面白い。マグロの産地は国内に数あるけれど、大将は以前に静岡のほうの市場に見学にいったことがあるそうな。冷凍のマグロを大量に保管する倉庫の前で語られたのは、「東海地震が起きればここらのマグロのストックは壊滅だろう」ということだった。被害額はウン十億でしょうと。大将は「被災でマグロ市場に打撃が加わる」なんてこと想像もしなかった」といい、「よい勉強になった」とも。確かに、「震災による経済的損失は○○円との試算」なんて耳にすることもあるけれど、日ごろ食えるか食えぬか言っているマグロが、店先や食卓に並ぶことなく瓦礫に埋もれてしまうことなど想像だにしない。なにより、「経済的損失」ということがとても身近に聞こえてくる話なのである。

人のそうした感覚は面白い。想像力はあまりにも儚く、食べ物の話でもしてもらわねば震災被害を「生活の範疇」において想像することができない。それが悪いことでなわけでもない。「だから食べ物を大切に」という話でもない。「マグロ食いたい!でも高い!地震来たらマグロもっとやべえ!いまのうちにトロ食っとくか?」そうして人は生きている。地震が来たらマグロが潰れる、それがなにより切なく感じられる。そいういうことがありもする。

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